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内部留保はキャッシュではない!
- 2013/07/16(Tue) -
今日は、会計の初歩のお話です。

でも非常に誤解する人が多いテーマです。

「大企業の内部留保260兆円を取り崩して賃上げすべし」などといった主張が独り歩きを始めています。

私は、ネット上で政治色のある発言をするつもりはありませんが、元々言い出したのは共産党です。

ただ、その当事者である共産党は、内部留保の意味を正しく理解しているようです。

ある意味当り前です。

曰く、
「大企業がため込んでいる内部留保の多くは有価証券など換金可能な資産の形で保有されており・・・」
と表現しているように、内部留保とキャッシュとは同一ではないのです。

つまり、内部留保という言葉だけが誤解されたまま独り歩きをしている、そんな景色が見えてきます。

そもそも、内部留保という言葉使いが誤解を招くようですが、これは狭義では貸借対照表上の純資産の部に計上された利益剰余金のことを指し、ため込んだお金のことではありません。

会計の初歩の初歩です。

利益剰余金とは、売上高から費用と税を控除し、更に株主への配当金支払いを差し引いて残った利益の蓄積額のことですが、これはあくまで過去においてそれだけ稼いだという記録に過ぎません。

稼ぎは使えば無くなります。

使う方法はいくらでもあります。

現金預金以外の資産、例えば設備を購入したり、在庫を保有したり、売掛債権を増やしたりする。

あるいは、借入金の返済に回す。

そんな具合です。

このように現金預金としてため込む以外の方法で内部留保を使った場合には、キャッシュは一切増えるものではありません。そして、企業財務においては獲得した利益は未来のために再投資されたり借入の返済に充てられたりする方が、キャッシュとしてため込むよりも一般的な資金運用の姿なのです。

共産党の主張を正しく読み取ると、それは内部留保が多いことを問題視しているのではなく、内部留保の使いみちとして近年現金預金や金融資産などといったキャッシュに振り向けられる傾向がある、ということなのです。

誤解を招きそうな表現をしておらるのは意図的なのかどうかはわかりません。

ご理解いただきにくい方もいらっしゃるかもしれませんので、ごく簡単な例でご説明しましょう。(一般に分かりやすい表現としているため、会計用語としては必ずしも正確な表現ではないことをご了承ください)

貸借対照表を極めて簡易に表現しています。

いずれも、右側がお金の調達方法ごとの金額、左側がそのようにして獲得したお金の使いみちを示しています。

当然のことながら、調達したお金の合計と使っているお金の合計とは一致します。

内部留保の説明図

これら①②いずれのケースも、内部留保があるからといってキャッシュが増えることはありません。

そもそも貸借対照表の右側は資金をどんな"方法"で獲得したのかその方法を示しているにすぎず、内部留保はいわば「自分で稼ぎましたよ」ということを表現しているだけなのです。

象徴的な言葉というのは、時として意図しない意味を与えられて独り歩きします。

気をつけたいところです。

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